深澤くんにはかなわない (ページ15)

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12話ページ15

試合が始まった。

最初は、両校とも点を取られては取り返すようなかんじだった。

阿「うーん···。なかなか点差が縮まらないね」

『そうだね。点数数は増えるのに···』

残り5分で、2点差で相手校が勝っていた。

阿「あ！翔太、がんばれ！」

翔太くんにボールが回ってきた。

でも、よくゴールを決めていたからか、かなりマークされている。

『うわっ、マークすご』

阿「翔太、かなりゴール決めてたからな···。···あっ！」

阿部くんとそんな話をしていると、翔太くんが、誰かにパスを出した。

ボールを受け取ったのは、離れた所にいた深澤くん。

深澤くんは、そのままドリブルでゴール下まで行こうとする。

でも、相手校の選手が2人ブロックしてきた。

顔は見えないけど、深澤くんが悔しそうな顔をしたのが分かった。

それを見て、私は思わず、立ち上がって叫んでいた。

『辰哉くん、がんばれー！！』

その声が聞こえたのか、ハッとしたように顔を少し上げた深澤くんは、ブロックしてきていた選手を一気にかわし、見事なレイアップシュートを決めた。

阿「ふっかナイス！」

これで同点に追いついた！

その後、翔太くんもレイアップシュートを決め、見事深澤くんたちが勝利した。

試合終了のブザーが鳴り響く中、深澤くんたち選手は、コートの真ん中辺りで、抱き合って喜んでいた。

その中で翔太くんとグータッチをした深澤くんがこちらを見上げて、目が合った。

すると深澤くんは、あの時のように、笑顔でピースしてきた。

やっぱり恥ずかしかったけど、今度は私も、笑顔でピースを返した。