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西 side
こんなに本気で怒られたことは久しぶりだった。
いつも母親からのごめんねって言葉を聞き続けて、どんなに悪さしても怒るどころか、こんな母親だからだよねなんて行ってくる母親だった。
一人っ子で、なかなか小さい頃は喧嘩だってなくて、悪いグループとつるむようになってから喧嘩はあったけど、あんまり俺が直接することは無かった。
悪さして大人に何か言われても、ただ呆れられるだけで、こんなに真剣な眼差しで怒られたのは…なんなら初めてだった。
何故か涙が止まらくなって、何度も拭う中で見えた蓮くんの顔は優しく微笑んでいて、見ていられなくなって目を瞑った時、優しい香りと温かい温もりに包まれる。
蓮「ふふ、ちょっと構って欲しかったんよね。怒られない事も、何も周りに言われないことも、自分の存在意義とか、自分が忘れられてるんかなとか。そんなこと思っちゃってしんどかったんよね。」
耳元に落ち着く声が響く。
『ぬれる…っ』
蓮「ふふ、そんなこといいんよ。」
優しく頭とか背中とかを撫でられて暫くそのまま泣いた。
蓮「落ち着いてきたかな」
『ん、すんませ、、』
蓮「いいんよって。謝らんの。あ、ただ放火しそうになった事はちゃんと反省してくれんと困るけん。笑」
『それも…すんませ、、』
蓮「よし。じゃあ下降りようか。ちょっといい匂いしてる。奨くん作ってくれてるんかな。」
泣き腫らした目で、蓮くんの背中を見詰めて追う。
奨「お、2人来た〜。今呼びに行こうとしてた所。」
柾「今日はね、俺も手伝った!」
蓮「2人ともありがとうね。すっごく美味しそう!」
今日の夕飯はハンバーグか。美味しそう!
奨「よーし、洸人おいで。」
奨くんが自分の席の隣に洸人を呼ぶから、そっと背中を押して、いっておいでと声をかける。
素直に向かうと、そのままガタンと音を立てて座る。
まだちょっと素直じゃないところもあるのかも。笑
洸人が食卓の場で話すことはほとんど無かったけど、とりあえずちゃんとご飯を食べてくれたから良かった。
俺は見逃してないからね。ハンバーグ一口食べて、にこっとしてたこと。
fin.
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作者名:ぽぽまる | 作成日時:2024年3月29日 0時